すいかの匂い
今日、今年になってはじめて父が扇風機を回しているのをみた。
夏はもうすぐそこだ。
こういう時期に、ふと思い出す本がある。
すいかの匂い/江國香織
私がこの本に出会ったのは、中学の頃だった。
千葉県の中学校に通っていたが、なぜか、毎朝15分ほどの「朝読(アサドク)」の時間というのがあって、生徒は各自読みたい本を用意してこなければいけない。
たまに本を用意するのを忘れるのだが、そんなときは仕方なく道徳の教科書を読んだり、それも持っていない日には歴史の教科書を眺めてみたり、地図帳を広げてみたりした。
読み物といえばマンガが大好きだった私にとって、なにか読む本をみつけてこいという課題はそれだけで憂鬱だった。
そんなとき、本屋で偶然見かけた「すいかの匂い」は、薄く、安く、キャッチーなタイトルの短編集で、そんな私でも飽きる前に読み終えられるかもしれないという感じがした。
「すいかの匂い」は、同名の「すいかの匂い」から始まり、計11篇の独立した物語から成る。
どれも、夏のにおい、夏の味、夏の音、夏の手触り、夏の景色を真空パックにとじこめたみたいな作りで、この本を開いたときだけは、いつでも、何度でも、思い出したいあの夏に帰る事ができる。
読んだときによって引っかかるものが違うし、年を重ねて夏の経験値があがるほどに、同じ物語に新たな夏の解釈が立ち現れるのだ。
「すいかの匂い」を、いいと言う人とは、一緒にいい仕事が出来る気がする。
この記事の中で、ライターのカツセマサヒコさんも言っていたが、
五感の中で、とりわけ「嗅覚」は詩的な感覚と相性がいい。
嗅覚は五感のなかでもポエム気質の強い感覚だと思っている。思い出などは記憶よりも匂いでよみがえることも多い。
詩的な感覚って、じゃあ、なんなんだろうか。
”詩情”をだれかと共有するってどういうことだろう。
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世の中はゴールデンウィーク真っ最中。
わたしは、ちょっと家に籠って、溜めに溜めた事務作業や書き物をしています。
父親に
おまえ、ちょっと走って運動してこい
と言われて、理由を聞くと
会話の合間に余計な動き(いちいちポーズをキメるなど)をしていたらしい。
やっぱり家に居ると運動量が一気に減るらしく
無意識に変な動きをしてしまいがち。(体力発散のため?)
あれ、私だけかな?
本日の右手ライティング 2018.4.30
かぶとむしby 右手
そのほかby 左手